
3月24日、ニューヨーク国際自動車ショーで、マツダの「ロードスター」が「2016年世界カー・オブ・ザ・イヤー」とデザイン部門の「世界カーデザイン・オブ・ザ・イヤー」を同時受賞という史上初の快挙を成し遂げた。【拡大】
2011年の10月にロードスターのチーフデザイナーに指名されたデザイン本部の中山雅(まさし)は、“マツダのクルマづくりの考え方がわかるデザイン”に関してこんなコメントをしてくれた。
「“ロードスターだから”といったガラパゴス的な存在からの脱却を果たせ、ということですよ。今までは、マツダ車のラインアップの中で、いわば末っ子的な存在だったかもしれない。だから、名実ともにブランド・アイコンと認められるデザインを生み出そうとしたわけです」
もはや、末っ子だからと甘えてばかりはいられない、マツダ車ファミリー全体を牽引する立場へと脱却するのだ。確かに過去3代の所有者の中には、ロードスターのファンではあっても、マツダのファンとは限らない人も存在していたのは事実だった。彼らはときとしてロードスターを“マツダ”から切り離して見ていたこともある。ボディーからマツダのバッジを取り去ってしまうオーナーもいた。こうした“切り離されていても構わない末っ子”的な印象を完全になくしてしまわなければ、ロードスターがマツダ・ブランドの包括的な象徴にはなりえない。そう考えたとき、ロードスターのデザインの方向性は自ずと決まってくる。
こうしたデザインの構想をまとめあげようとしているまさにそのとき、開発部門ではスカイアクティブ技術の開発が佳境に入っていた。しかもそこでエンジニアや企画部門が標榜する“新世代のマツダ車”の特長はスカイアクティブ技術を活かした“人馬一体”という、もともと四半世紀にわたってロードスターの開発エンジニアが掲げていた“走り”の目標だった。