日産の整備士学校がレースに参戦する理由 優秀な人材確保へ学生を“英才教育” (1/3ページ)

 若者のクルマ離れが叫ばれて久しい昨今、日本の自動車業界は深刻な整備士不足に直面している。整備士を目指して専門学校に入学する学生数はここ10年間で半減し、整備要員は高齢化の一途をたどっている。その影響は町の一般整備工場だけにとどまらず、メーカー系の販売店でも採用に苦労しているのが現状だ。日産グループが運営する日産・自動車大学校では、次世代を担う優秀な人材を確保しようと、在校生が人気レースシリーズに直接参加できるユニークな体験型プログラムに取り組んでいる。三重県の鈴鹿サーキットを訪ね、プロのメカニックに混じって奮闘する学生たちの姿を追った。

 プロのレースメカニックから直接指導

 「ボボボボ、ブウォン!」。レース前のグリッドに1台のGT-Rが大きな音を立てながら停車した。車体には前年のチャンピオンチームの証である「1」のナンバーがきらり。ボンネットには「日産自動車大学校」の文字が躍る。ドライバーがマシンから降りると、周囲には張り詰めた空気が漂い始めた。耐火スーツに身を包んだメカニックと一緒にマシンを囲むのは、ポロシャツの背中に「NISSAN」の赤いロゴを背負った学生たち。チームリーダーの目をじっと見つめながら指示に聞き入る。それぞれの役割を確認すると、スタートに向けた最後の準備が始まった-。

KONDOレーシングのGT-R。「日産自動車大学校」の文字が躍る

KONDOレーシングのGT-R。「日産自動車大学校」の文字が躍る

 日産・自動車大学校は将来の自動車整備士を育成する専門学校だ。横浜校や愛知校など全国で5校を展開しており、約2000人の学生が国家自動車整備士資格の取得を目指して学んでいる。実習車にはスポーツカーのGT-Rや電気自動車のリーフといった日産を代表する最新車両を導入するなど、ディーラー系の強みを生かした実践的な教育を進めており、工場見学や海外研修など複数の体験型プログラムを通じて学生をより「クルマ好き・日産好き」に育てることに注力している。

 2012年からは、マッチの愛称でおなじみの近藤真彦氏が率いるKONDOレーシングとタッグを組み、自動車レースのスーパー耐久シリーズにも参戦している。年間全6戦で争われるレースに5校が持ち回りで学生を送り込み、プロのレースメカニックから直接指導を受けながら、正確な技術や責任の重さ、チームワークの重要性を習得している。今月11日に鈴鹿で行われた第3戦には愛知校の学生約60名が参加した。彼らは自ら「レースをやりたいです」と希望してやって来た整備士の卵たちだ。

新卒が取れず、争奪戦に

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