
nanamusic代表の文原明臣氏【拡大】
--文原さん自身についてお聞きします。以前は歌手だったのですか
「スティービー・ワンダーやレイ・チャールズが大好きなんですよ。でも、nanaを始める前、僕は実は5年ほどプロのレースカードライバーだったんです」
--車のレースから音楽アプリの創業へと大きく舵を切られたんですね。そのきっかけは
「F1のドライバーを本気で目指していましたが、資金とスポンサーがなく、レースで食べて行くことは大変でした。ちょうどテクノロジーに関心を持ち始めた頃にターニングポイントになったのは、ハイチの大地震後に寄付を集めるために作られた動画をYouTubeで見たことです。世界各地に住む57人のアマチュアミュージシャンが「ウィー・アー・ザ・ワールド」を歌っていました。各地で録音されたファイルが離れた場所でミックスされていて、感動しました。彼らが実際には会わなくても、こんなに素晴らしいハーモニーやかけ合いが生まれるのかと驚きました。こんなことが自分にもできないかなと」
“共有”が成長要因
--シードアクセラレーターのMovida Japanのプログラムの一員として、nanaのリリース時は注目を集めましたが、その後は順調に事業が上向くとはいかなかったようですね
「リリース直後はダウンロード数が伸びたんですが、最初の宣伝効果が薄れるとダウンロード数も同時に減りました。12年の末までには新規ユーザーは数えるほどしかおらず、資金もほとんどなくなっていました」