
nanamusic代表の文原明臣氏【拡大】
--神戸出身ですね。なぜ東京で起業したんですか
「今でこそ神戸で起業の機運が盛り上がっていますが、数年前とは言え、当時は神戸で人材を探すのが本当に難しかったのです。関西のIT系勉強会などには参加していましたが、起業したいなら、アイデアに関心を持ってくれる人を東京で探さなければいけない状況でした。私の場合は、ツイッター上の会話から東京に住む現CTO(最高技術責任者)と知り合いました。今は日本の各地で起業している人がいるので喜ばしいことです」
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UXの向上がnanaのダウンロード数を再び押し上げて現在のグローバルな成功をもたらす要因になったというのは、非常に興味深く、注目に値する。ユーザーがアプリを使いやすくなったことはもちろん既存ユーザーに良い影響を与えたが、それ以上に、ソーシャルメディアへの共有機能追加によって、ユーザー以外の人にnanaのコラボで作った楽曲が紹介され、関心を引いたことが大きい。この点は、消費者向けのアプリ開発を検討している人にとっては特に重要だ。アップストアには現在220万以上のアプリがあり、少しでも世界のスマホユーザーに気付いてもらおうと望むならば、巨額のマーケティング予算を投じるか、アプリ自体に口コミを活用した低コストのバイラルマーケティングの仕組みを備えるかしかない。アプリを利用していることを非ユーザーに知らせられるだけではなく、非ユーザーに「使ってみたい」と思わせる工夫が必要だ。
文:ティム・ロメロ
訳:堀まどか
【プロフィル】ティム・ロメロ
米国出身。東京に拠点を置き、起業家として活躍。20年以上前に来日し、以来複数の会社を立ち上げ、売却。“Disrupting Japan”(日本をディスラプトする)と題するポッドキャストを主催するほか、起業家のメンター及び投資家としても日本のスタートアップコミュニティーに深く関与する。公式ホームページ=http://www.t3.org、ポッドキャスト=http://www.disruptingjapan.com/