5年以上絶食した「ダイオウグソクムシ」 死因は「餓死」ではなかった… (3/5ページ)

2014.3.13 10:06

ダイオウグソクムシの標本を手にする飼育員の森滝丈也さん=鳥羽市

ダイオウグソクムシの標本を手にする飼育員の森滝丈也さん=鳥羽市【拡大】

  • 「No.1」の体内から見つかった酵母様真菌の顕微鏡写真(鳥羽水族館提供)
  • 鳥羽水族館で飼育中のダイオウグソクムシ。No.1の死でさらに謎が深まった=鳥羽市

 こうした菌類は酵母様真菌(こうぼようしんきん)と呼ばれ、土の中など自然界にあるほか、小動物の消化器官に存在するものが知られ、下痢を繰り返した犬などの体内から検出されるケースがある。酵母は、パン酵母やビール酵母など糖分を分解してアルコールなどに変えることで知られる。

 そこで、No.1の酵母様真菌と長期間の絶食の関連が焦点となった。酵母と長寿の関係は、さまざまな研究が続いている。静岡県三島市の国立遺伝学研究所の研究チームが、昨年8月に長寿遺伝子の働きを解明して酵母菌の寿命を操作する実験に成功。酵母と長寿遺伝子の関連が分かり注目された。

 果たして、No.1の液体から検出された酵母様真菌は、食べないという状態にもかかわらず、空腹感を忘れさせ生きながらえる作用をもたらす存在なのか。大きな仮説が生まれた。

 一方、No.1の消化管全体に炎症や変色はなく、過去に解剖した個体よりも状態がよかった。甲羅の裏側などの肉も痩(や)せているように見えなかった。捕食している個体と同様に長期間の絶食を経たとは思えないような健全さをうかがわせた。こうした状態から、森滝さんは「直接の死因はわからないが、餓死したという状況ではない」と判断。不老要素が酵母様真菌に含まれている可能性も浮上した。

「変な生き物」ブームで脚光を浴びるまで見向きもされなかったダイオウグソクムシ

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