「攻殻機動隊」では、ネットワークにダイブし情報の海を泳いで必要なデータを集めるビジョンも登場する。これを再現したのが、フルダイバーによる「電脳空間2016」。モニターやマウスといったデバイスを使い閲覧・使用するのが通常のウェブサイトやアプリケーションを、VRヘッドマウントディスプレイや、足で踏むコントーラーを使い、視覚や触覚といった人間の五感で操作できるようにしていた。
すぐにでも実用化されそうなアイデアが、Biomachine Industrialによる「視覚機能拡張インターフェースシステム」だ。30倍ズームのデジタルカメラをヘッドマウントディスプレイに仕込んだようなデバイスで、人間が1点を注視する筋肉の動きを察知して、ズームを伸ばしてその部分を拡大して見せる。両手がふさがっていてもズームアップできる技術は、スポーツ観戦のような娯楽から、災害地での救援活動など様々な分野に応用できそうだ。
会場には、特別展示としてMeltinMMIの「高性能義手」が登場。手首と肘の関節の間に3つの筋電センサーをとりつけ、義手を動かす技術で、以前は有線だったものが、無線化に成功して離れた場所からも義手を操作できるようになっていた。
イベントでは、「攻殻機動隊」に登場する、人工知能を持って自在に動き回る「タチコマ」を作ろうとするプロジェクトも発表された。インターネットと?がる家電製品などを送り出しているCerevoが10分の1サイズのものを製作し、海内工業とkarakuriは2分の1サイズという大型のものに挑む。バーチャルのものをリアルにするこうした挑戦から、技術の革新が生まれそうだ。