「格好つけずに食べるのがお好み焼きの魅力ですけど、ちょっと気取ってみませんか、というのが『ぷれじでんと』の始まりでした」。店の狙いを、社長の中井政嗣さん(67)はこう説明する。「お好み焼きはワインにも合うし、きちんとしたディナーのコース料理にもなり得る。数十年間、お好み焼きの可能性を摸索してグレードを上げてきた」と自負しているという。
にもかかわらず、ミシュランガイドについては懐疑的だ。「フランス人に大阪の大衆の食べ物、上方の粉もん文化を評価することが、果たしてできるのかどうか。お好み焼きは本来、コテで大口あけて伸び伸び食べるもの。格好なんかつけてられへん。着飾っても人間性が出る。そんな食文化を理解できるのかな、と思います」と話す。
千房がこれまでに出した店は、延べ105軒。だが現在残っているのは65軒だ。はやらない店は閉め、新規の出店を繰り返す。こうして淘汰されてきたのが、現在も営業している店なのだ。中井社長の最後の言葉には、一人一人が粉もんに一家言をもつ関西で生き抜いてきたプライドがにじみでていた。
「年に一度しか来ない外国人の調査員よりも、入れ代わり立ち代わり店に通ってくださるお客さんの評価のほうが気になる。だから、ミシュランにはあまり興味がないですな」