個々のリーダー人材の汎用性に疑問を持ちながら、他方で人間の総合力が求められている。そして、「人材が不足している。トレーニングしないとどうにもならない」と眉間に皺を寄せる。
ここで、待てよ、とも思う。人材研修も大切だし、それこそ学校教育からの改革が必要なのは確かだが、これほどに急激な社会的変化のまっただ中で、そもそも新しい状況にあった人材がいないのは当たり前である。だいたい過去においても理想のリーダー像とは幻想にすぎなかったのではないか。
だからこそ、現在、教養や人格の大切さがふたたび説かれる。「総合という名の分野の専門家」はリーダーとしては不十分なのだ。確かに複数の分野を経験することは鳥瞰的状況を把握するに鍵になる。創造的な突破口を見出し自ら歩を前に進めるにはさまざまな経験が役に立つ。だが経験を積み重ねれば教養や人格が向上するとは限らない。
「資質」が問われている。「地頭が良く」「エネルギーがあり」「愛嬌があり人に好かれる」のはもちろん望ましいが、それらを鍛えるものとして教養が位置づけられているのではないか。「資質」を生まれつきの才ととらえたら生きる気力を失う人がほとんどだ。
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih