湯浅醤油有限会社の蔵を見学するミシュラン星付きレストランのシェフら(同社提供)【拡大】
平成19年から商社を通じて米国に年数千本を輸出。日本の2、3倍の価格で売られる。欧州へ広がったのはベルギーのシェフが知人に頼んで大阪市の百貨店にあったしょうゆ全種類を買い求め、その中から選び出したのがきっかけ。新古社長によると、ワインを熟成させる欧州ではしょうゆを熟成させる価値も理解される。トップレベルのシェフは、ケーキのクリームに香り付けに入れるなど日本人と異なる発想で使うという。
東京電力福島第1原発事故による風評被害で一時は落ち込んだが、昨年は東南アジアから工場を訪れる人が目立った。格安航空会社の就航や、査証(ビザ)発給要件緩和の影響とみられ、今年は東南アジアへの輸出を検討する。
日本醤油協会によると、世界に普及したしょうゆのほとんどは原料調達や生産が海外で行われ、海外生産量は23年に約20万キロリットルと、昭和50年の約8千キロリットルから約25倍に拡大。日本から輸出されるのは「高くても売れるしょうゆ」だ。輸出量はリーマン・ショック(2008年)後の減少から回復傾向にあり、平成24年は約1万7千キロリットル(貿易統計)だった。