入所者ごとのケア方法を記したカードを携行してケアにあたる=神奈川県三浦市のなのはな苑【拡大】
見守りなしで歩行
精神科病院を退院してきた人の薬の減量もする。横須賀市に住む原田誠一さん(33)=仮名=は、父親(66)の精神科病院での処遇を見かねて同苑に相談。入所を受け入れてもらった。
父は2年前、認知症の中でもケアの難しい「前頭側頭型認知症」と診断された。家族の顔が分からなくなり、「出て行け」と言って暴れたり、「変なやつがいる」と叫んだり、家のドアを外してしまったりした。
だが、精神科病院に入院すると、拘束され、薬を大量に投与され、歩くことも話すこともできなくなった。面会に行ったある日、珍しく焦点の合った父が薬を手にして言った。「これ飲むと、おかしくなるんだよな」
原田さんは「あのまま拘束されていても良くなるとは思えなかった。とにかく、早く出してあげたいと思った」。なのはな苑が受け入れてくれ、父親が退院する際、病院側は薬を5、6剤に減量した。それを、同苑の常勤医がさらに減量。今は薬剤はない。歩けなかった父が見守りなしで歩けるようになり、介護職に話し掛けるようになった。以来、父は同苑と家とを往復する生活が続いている。