3月12日の集中回答日を迎える2014年春闘はどこまでベースアップ(ベア)に踏み込めるかが焦点だ。電機メーカーの業績は回復傾向にあるが、新興国勢などとの競争も激しい。電機連合の有野正治中央執行委員長と日立製作所の御手洗尚樹執行役常務は、フジサンケイビジネスアイの取材にそれぞれ応じ、本格化した交渉について語った。
□電機連合中央執行委員長・有野正治氏
■賃上げ、当たり前の社会を
--ベアに相当する賃金改善を5年ぶりに要求した
「デフレを脱却し、経済の好循環につなげていかないといけない。物価も上がってきているし、消費税増税も予定されている。生活を守る観点からも、今春闘で賃金を上げるのがわれわれの役割だ」
--これまでの交渉ではベアに前向きな企業がある一方、一時金で対応したいという声も根強い
「業績回復が遅れているところはそういう雰囲気がある。ただ、一時金は業績が回復したら上がるのは当然で、業績悪化で下がっても誰も賃下げとはいわない。賃金が上がるのが当たり前の社会をつくるスタートにしようと言っている」
--電機業界は回復にばらつきがあり、シャープとパイオニアの労働組合は統一闘争から離脱した
「(同一の要求で同一の回答を求める)統一闘争なので、体力がないところは休んでもらう。ただ、春闘で終わりではない。来年から(電機連合が)業態や企業規模に応じて目指すべき水準を示し、各社が通年の労使協議で格差解消に取り組めるような仕組みも導入しようと検討している」
--政府は政労使会議などで賃上げを要請した
「賃金が経済に与える影響は大きく、課題認識として示したのは非常にいいことだと思う」