4月から年金制度にもさまざまな変更点がある(本文とは関係ありません)【拡大】
■遺族基礎年金 父子家庭にも支給
共働き世帯が増える中、「一家の支え手は夫」という前提も見直された。
遺族基礎年金の支給対象は子供がいる「母子家庭」だったが、4月からは「父子家庭」にも支給される。支給額は親と子供1人で年に約100万円弱。
遺族基礎年金は従来、夫を失った母子には支給されても、妻を失った父子には支給されなかった。このため、例えば、自営業の共働き夫婦(いずれも国民年金の第1号被保険者)では、妻が亡くなっても夫には遺族基礎年金が出なかった。
かねて「男性が家計を支えることを前提とした制度設計」と批判があり、政令改正で性別に着目した要件がなくなった。4月からは年収が一定要件を満たせば、父子でも母子でも遺族基礎年金を受け取ることができる。
ところが、改正の過程で別の問題が生じた。
厚生労働省は当初、会社員の妻など「国民年金の第3号被保険者」が死亡した場合、その配偶者に遺族基礎年金を支給しない方針だった。「年金保険料を納めていない『第3号被保険者』は養われていた人で、生計維持者ではないはず」(年金局年金課)と考えたためだ。
だが、この案に反対意見が相次いだ。全国社会保険労務士会連合会は「第3号被保険者の中には、(会社員などの)第2号被保険者が失業や病気などで一時的に第3号になっているケースもある」として、「慎重な検討を求める」とする会長見解を公表した。
厚労省が求めたパブリックコメントでも「第3号被保険者がパートで働き、世帯の生計維持に貢献している世帯もある」などの反対意見があった。
このため、厚労省は当初案を修正。4月からは「第3号被保険者」が死亡した場合も、子供がいて収入要件を満たせば、死亡した人の配偶者が遺族基礎年金を受給できることにした。
ただ、社労士の間でも意見は分かれる。「保険料を納めていない人の死亡に遺族基礎年金が出ることには違和感がある。第2号だった期間によって考慮してもいいのではないか」(関東地方の社労士)との声もある。厚労省は「今回は政令改正で可能な範囲内での変更」としており、今後の制度改正で考え方を整理する方針だ。