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もちろん、ロバート・ケネディが述べている中には、本人に都合の悪い部分が省かれていたり、ケネディ大統領のフルシチョフに対する好意的ともいえる評価など、現時点からすれば、明らかに再検討を要する時代的制約をもった箇所も当然含まれているけれど、本書が数多くの教訓に満ちた重要な歴史的文献であることに変わりはない。
終章に、第一次世界大戦がどのように始まったかを軍事面から克明に分析・検討したバーバラ・タックマン女史の著書『八月の砲声』のことがわざわざ取り上げてあるのは、この回顧録が戦争の危機をどう乗り越えるかを意識して書かれていることの証しといっていいだろう。言うまでもなく、読者はそのような著者の意図を十分にくみ取りながら読むべきである。(中公文庫プレミアム・本体900円+税)
評・瀬戸川宗太(評論家)