「宮崎駿論」【拡大】
理論的なポイントは、そうした姿勢で作られる宮崎作品が、比喩ではなく、アニメーションの語源通りに、物質に命を与える行為と等価なものとして論じられるところだ。
生きているということ。目の前の自然や動物だけではない。ありとあらゆる動いているものへの感謝。許されない欲望を持ってしまった自分ですら。宮崎氏がそれをやりおおすために、著者は、マンガ版『ナウシカ』の協働作業によるアニメーション化、その超高齢出産を提案している。
だが、本当は、そういう理論的な考察や提言より、最終節「私の言葉、私の物語」こそ読んで欲しい。杉田氏がどんな人間かがそこに示されているからだ。この時代の信じられる書き手がここにいる。(NHKブックス・本体1500円+税)
評・大澤信亮(文芸批評家、日本映画大准教授)