功さんは「これ以外に訪問診療や薬代などの医療費もかかる。介護サービスが2割負担になって、3万5千円が7万円になったら、いったい何を減らせばいいのかと思っていた」と話す。
功さんが心配したのは、自身が元サラリーマンで、約380万円という比較的豊かな年金収入があるからだ。
だが、恵子さんの費用負担は1割で変わらない。1割か2割かは世帯の所得ではなく、サービスを利用している個々の所得で決まる。恵子さんには基礎年金の収入しかないからだ。
2割負担になる人の基準は「合計所得が160万円以上」。年金収入だけなら280万円以上に当たり、介護保険の被保険者の所得上位20%を占める。来年8月以降、功さん自身が介護サービスを使うことがあれば、功さんは2割負担だが、恵子さんは1割のままだ。
だが、個人単位で所得を見ることにした結果、2割負担の人の世帯が、夫婦とも1割負担の世帯よりも世帯収入が少ない「逆転現象」も生じそうだ。
健康保険にも、高齢でも窓口負担が3割になる所得階層があるが、介護保険の方が対象範囲は広い。功さんは「(基準となる)年収280万円は高収入とはいえないのでは…」と漏らす。