「ほぼ日」(ほぼ日刊イトイ新聞)に「カレーの恩返し」という商品がある。カレーのルゥではない。市販のカレールゥを活かすスパイスである。なかなか面白いアプローチだと思い、実際に使ってみた。市販のルゥの口当たりの良さをわざとざらつかせている。それがために「ほう、なるほど!」と印象的な仕上がりになるのだ。
このカレーを食べながらスパイスの威力について考えた。
スパイスは世界の歴史を動かしてきた。ギリシャ・ローマ時代から重要な交易物質であったが、ヴェネツィア共和国の繁栄もスパイスが「効いている」。大航海時代もスパイスを独占していたアラブ人商人に対抗するために、ポルトガルやスペインが動いた結果である。
15世紀にインドに出かけたポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマは自らの艦隊と船員の命を失ったが、持ち帰ったコショウとシナモンは航海費用の60倍の価値を得たという。
これを口にした人たちの舌と鼻が世界の経済と政治を動かしたことになる。食料保存という目的があったにせよ、スパイスには文字通り途方もない価値があった。
ここまで、歴史の知識としては分かる。
しかしながら、現代に生きるぼくは、スパイスがそこまで重要なものだとは実感がどうしても湧かない。
「カレーの恩返し」でスパイスの良さを体感しながらでも、だ。