レポートでライブエンタテインメントの項を執筆したアニメ産業研究家の増田弘道氏は、アニソンライブの公演数が2年足らずで2.1倍、動員数と市場規模が2.4倍に急成長したことを挙げ、こうしたジャンルの盛り上がりぶりを指摘。また、2.5次元ミュージカルと呼ばれるマンガやアニメ、ゲームを題材としたミュージカルを「引き続き拡大路線にあるジャンル」と分析している。これを裏付けるように、東京都渋谷区にある劇場が、2.5次元ミュージカル専用の「アイア2.5シアタートーキョー」として2015年春から運用されている。
まさに順風満帆と言いたいところだが、ここに「劇場・ホール2016年問題」と呼ばれる壁が立ちふさがる。首都圏にある劇場やホールの閉鎖、建て替えが相次いでライブをする場所が少なくなっている問題だ。2015年11月に音楽や芸能に関わる団体が連名で行った会見では、この10年で多くのホールが閉鎖され、座席数が2万5000席減ってしまったことが指摘された。
能楽師で人間国宝の野村萬さんや、人気J-POPグループのサカナクションでボーカルを担当する山口一郎さん、バレエダンサーの斎藤優佳里さんらが出席した会見には、アニソン界からもベテランシンガーで、JAMProjectのメンバーとして活躍する影山ヒロノブさんが登壇して、窮状を訴えた。