なぜ自衛隊は休むことを「命令」するのか ビジネスマンが知らない戦力回復とは (5/7ページ)

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 東日本大震災と「戦力回復」の真実

 統幕長はじめ各レベルの指揮官は、自衛官の蓄積疲労の解消には徹底的に気を遣っていますが、その理由は、最終的に自衛官には「国防」という、絶対に負けることが許されない継続的な任務が待っているからです。

 東日本大震災での最大時10万7000人という自衛隊の派遣規模は、全自衛隊員23万人から、空自の対領空侵犯措置(スクランブル)や海自の海上警戒、陸自の政経中枢に対する備えなど、災害対応以外の防衛警備に最小限必要な隊員数を考慮したものでした。

 彼らは災害派遣を終えたあと、再び国防の任務や訓練に勤しむことになります。その際、蓄積疲労でパフォーマンスが低下してしまうようでは、一時的とはいえ、組織として本来の任務を果たすための能力が維持できなくなります。自衛隊ではどの隊員も、とくに指揮官ほど「倒れるまで頑張る」というくらい責任感が強く、じつは指揮官を休ませるということが、上級指揮官のいちばんの悩みでもありました。

 自衛隊には、国防や人命救助など不眠不休でやらねばならない(させなければならない)時期、連続勤務をしなければならない(させなければならない)厳しい状況や時期があります。もちろん、それが本分ともいえます。しかし、それらを乗り越えたあと、任務とのバランスを取りながら長期戦に継続性をもって対応していくために、「戦力回復」がどうしても必要なのです。

どのように10万人の隊員のパフォーマンスを最大限に上げたのか