インド訪問中の茂木(もてぎ)敏充経済産業相(57)は9月12日、両国によるエネルギー資源の共同開発で合意した。経済だけでなく外交・安全保障分野における両国の接近も近年目覚ましい。軍事拡大をひた走る中国を睨んでの戦略でもある。しかし安全保障面で、インドはどこか煮え切らない。
見え難いハラ
3月に高誼(こうぎ)を得た将軍を含む退役・現役の印軍高級将校・研究者は中国軍膨張を一様に警戒し、外交・安全保障、経済上の日印連携を口にした。「遠交近攻戦略で、共に中国の野望を挫(くじ)こう」との意見も聴けた。米国大使館や在日米海軍司令部からも海軍中佐が参加していて、印側と熱心に情報交換していた。友好関係にあっても当然ハラの探り合いになる。もっともインドのハラは、アジア諸国を睥睨(へいげい)・恫喝(どうかつ)する中国のハラよりある意味で見え難(にく)い。従って、専門家の分析も色取り取りだ。
カナダの軍事専門誌・漢和防衛評論の平可夫編集長は今夏《インドは米国製兵器を続々導入。冷戦期間中もその後もなかった史上初の事態》だと自誌で総括した。米国はインドの仮想敵《パキスタンへの主要な兵器供給国で警戒心が強かった》ためだ。だが、今や米国の対印武器輸出は《インドをして米国を、米国をしてインドを、互いに中国包囲網に引き込んだ》。