不利益自覚に日本の出番
トルコは戦略上の要衝で、兵員60万人前後はNATO加盟国中、米軍に次ぐ。キリスト教国が占めるNATOにおいては目立った回教国ながら「欧州の一員」との自覚もある。だのに「なぜ国内生産が許されぬのか」と、疎外感に悩んできた。そこに、トルコが化学兵器行使や核開発を懸念する非友好的隣国シリアの内戦が加わる。内戦介入に欧米は及び腰で、疎外感は次第に相互不信へと悪化している。その分、中国傾斜は加速する。朝鮮戦争(1950~53年)で欧米側に付き、中国人民義勇軍などと激突。派遣将兵5000の内、戦死・行方不明896人と2727人の負傷・戦病者/捕虜を出した過去は戦史に過ぎなくなった。
ところで、FD-2000を供与したCPMIECは2月、イラン/北朝鮮/シリアへのミサイル技術拡散に関与し制裁対象となった。FD-2000には日本製部品が組み込まれてもいた。大問題ではあるが、中国技術の限界を物語る。そもそも、中国による開発は困難の連続で途中、露防空システムを輸入し発射技術を学んだ。しかも、トルコは欧米製だけでなく、日本製兵器取得を熱望している。
日本は先進7カ国の内、唯一の有色人国家で非キリスト教国。信用ならぬ中国に誼を通ずる不利益を、屈指の親日国トルコに自覚してもらう、日本流の細やかな外交が求められる。繰り返す。トルコを“あっち側”に行かせてはならない。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)