地元に愛され、支えられているのが三陸鉄道だ-。「受け入れてくれた会社や傷つきながらも支えてくれた地元に、恩返しがしたい」との思いを強くした。
2分停車で記念撮影
岩手県大船渡市でワカメ養殖する家庭に育った。地元での就職を希望し、高校の担任から三陸鉄道の運転士募集の話を聞き、飛びついた。運転士に憧れていたわけではない。むしろ運転席にこもるだけの暗いイメージを持っていた。
そんな考えを先輩の背中が変えてくれた。運転席にあるバックミラーで車内の様子を観察し、大きな荷物を抱えた観光客を見つけると絶景場所で速度を落とす。血の通う気配りの運転に迷いは消え、恩返しのヒントも得た。
「自分一人の力では何もできないかもしれない。でも、被災地が盛り上がるような運転をしていく」
今年6月、運転士の国家試験に合格した。東北運輸局管内で今年の最年少。決して雄弁ではなく、まだまだ技術も未熟だと思うが、この決意に揺らぎはない。