「(安倍政権の)公約だから日本は譲れない!」。話し合いは平行線をたどった。政府高官は「米国は安倍政権の支持率が高いから何でもできると思ったようだ」と振り返る。
米側の圧力は自民党にも向けられた。西川公也(こうや)TPP対策委員長は11月中旬、密かに都内の米公使公邸を訪れた。待っていたのはカトラーUSTR次席代表代行だった。
「韓国は米韓自由貿易協定(FTA)でナシとリンゴの関税を20年かけて撤廃する。日本は重要5分野を全て守ったら関税自由化率は93.5%にとどまる。それでいいのか」
カトラー氏は関税を段階的に引き下げる案を示しながら、関税全廃を受け入れるよう執拗(しつよう)に迫ってきた。西川氏は「妥協点は1つもない」と感じ、「日本の自由化率は明言しない。次回の閣僚会合で一発勝負をやりましょう」と伝えた。