だのに、国防大臣会合でも大きな障害として課題となった米軍駐留経費を200億円近く値切ろうとする。しかも、自衛隊による在韓米軍支援の実効性をより担保する集団的自衛権行使にも反対する。「国家の自殺」以外に何と形容するのか。
そもそも、沖縄返還交渉の過程で米韓両国は、沖縄の米軍基地が日米安全保障条約の適用を受け、事前協議の対象になる可能性を大いに憂慮したのではなかったか。朝鮮半島有事はわが国に飛び火する「日本有事」へと急変する危険は大きく、事前協議で米軍実戦部隊の出撃に異を唱える局面は考え難いが、それでも両国は心配した。安全保障に関し、日本が「普通の国」ではないせいでもある。
集団的自衛権容認に難癖
そこで、沖縄返還に合意した日米共同声明(69年)で、時の佐藤栄作首相(01~75年)は「前向きかつ速やか」なる対応に、あえて言及。90年代に入ると《日米防衛協力のための指針=新ガイドライン》や《周辺事態安全確保法》を成立させ、半島有事における事実上の「韓国支援」を具体的に打ち出した。「軍国主義化」などではなく、全て「普通の国」になる努力だった。