【京都うまいものめぐり】
今年は間違いなく「和食」がブームに。それも世界的なムーブメントがやってきそうだ。旬の素材をシンプルに…というのは和食によくある売り文句だが、改めてその2つが和食において最も力を発揮する要素だと気付かされるのがここ「京天神 野口」。味にうるさい京都人も足しげく通う店である。
ふわっとしてとろり。オレンジ色のウニの下はとろける舌触りの湯葉、香ばしく焼けた餅に色合いもきれいな「ウニしょうゆ」でさらなるうまみをプラス。ウニと湯葉にワサビ…というのは相性の良い組み合わせだが、餅を加え、それぞれの温度と食感を計算しているところが心憎い。「湯葉雲丹(うに)餅」は、ファンの多い一品だ。
「おいしさには妥協したくないんです。食べるのが好きな方、いろいろな所に行き尽くしたお客さんも多いので難しいんですけれどね」と苦笑するのは、野口大介さん(37)。有名料亭や割烹で修業し、2011年に「京天神 野口」をオープンした。気さくで明るいキャラクターと、センスが光る料理で知られる料理人だ。「湯葉雲丹餅」は変わり皿として、椀物と焼き物の間に出す。