嶋田ハムの特徴は、大きく2つ。一つは一つ一つのソーセージの張り具合などを確認するため、腸詰め作業をすべて手作業で行っていること。もう一つは、薫製する際に天然の薪を使って火を起こしている点だ。嶋田ハムでは秋田県産のナラの薪を使い、火加減を調整しながら約3時間薫煙する。寒い地域の樹木は長い冬の間に樹脂をため込むため、ソーセージの薫煙に適した薪になるそうだ。
取締役の花沢直樹さんによれば、薪で薫煙するとソーセージの皮が硬くならず、最高の食感を生み出せるという。「こうした製法を守っている工場はドイツにもほとんど残っていないそうです」。また嶋田さんは、「良質な薪が採れる秋田で育んだハムの味を、これからも守り続けたい」と話していた。
A5評価「三梨牛」
続いては秋田県民の食文化を探るべく、“地産地消”を大切にする大曲発祥のスーパー「グランマート・タカヤナギ」を訪ねた。タカヤナギは、県南部を中心に17店舗を展開。店内の生鮮食品コーナーにずらりと並んでいたのは、秋田名産の魚、ハタハタだ。
タカヤナギの地産地消バイヤー、佐々木浩さん(47)によると、ハタハタは秋田沿岸では11月下旬から12月上旬に水揚げされるため、生で並ぶのはこの時期だけ。「秋田では昔から、この時期に取れたハタハタを塩や味噌に漬けて冬の間のタンパク源として利用しました。ハタハタで作る魚醤の『しょっつる鍋』も有名ですが、私は塩焼きが“推し”です」