さらに店内を歩くと、精肉コーナーに「三梨(みつなし)牛」という看板を発見。湯沢(ゆざわ)市の三梨(みつなし)地区で飼育される希少な黒毛和牛で、評価は松坂牛と同じA5。美食家の間では“幻の和牛”として知られ、非常に希少でほとんどが県内で消費されている。「ほかのブランド牛にもまったくひけを取らないのですが、全国には知られていませんよね。いいものを持っているのに、引っ込み思案で売り込みが下手な秋田県人のような和牛です(笑)」
郷土の味守る老舗
次は“みちのくの小京都”と呼ばれる城下町、角館に向かった。老舗が並ぶこの街でも、特に長い歴史を持つみその店「安藤醸造」へ。安藤醸造は1853年に創業、米と大豆、塩、麹菌のみで今も手仕事で作られる「米味噌」が有名だ。そのほかしょうゆや塩麹、しょっつる、漬けものなど郷土の味がそろう。
女将の安藤雅子さんによれば、良心的な値段に抑えるため流通経費などを考慮し、ほとんどの商品を本店とその周辺の店でしか販売していないという。どおりで評価が高い割りに、関東にはまったく流通していないわけだ。「送料が掛かりますが、商品は通販でも購入いただけます。関東には角館のお店に寄られて以来、ずっと買ってくださる方も多いですよ」