世界唯一の原子力砕氷船団を運航する国営企業「ロスアトムフロート」のミハイル・ベルキン社長補佐(32)は「原子力によって何カ月も自立的に航行できるのがわが船団の強みだ」と指摘。北極海航路の利用が増えれば、航路の東端に位置する北海道・苫小牧港の飛躍にもつながり得るとも話した。
むろん、北極に露政権や地元が思い描くようなバラ色の未来があるかは全くの未知数だ。資源開発の面では、海氷の減少にもかかわらず、まだ採算面の壁が高い。12年にはバレンツ海の巨大天然ガス田「シュトックマン」が開発凍結に追い込まれており、業界関係者は「北極海の資源開発では沿岸からの距離や国際資源価格の動向が成否を左右する」と指摘している。
ロシア軍も本格始動
北極海航路の現状も、「スエズ運河に匹敵する大動脈にする」というウラジーミル・プーチン大統領(61)のかけ声にはほど遠い。航路には、夏場の数カ月間しか航行できず、原子力砕氷船の利用でコスト高になるといった問題がある。沿岸のインフラ整備も急務だ。北極海航路の本格的発展は、北極圏からの資源輸出がどれだけ伸びるかにかかっているとの見方が強い。