先行きについて、ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「利上げは対症療法に過ぎず、不安定な状況は長引く」とみる。一方で「日米経済は堅調で、過度に懸念しない」(野村ホールディングスの柏木茂介CFO=最高財務責任者)との意見もあり、米景気回復に、世界経済を牽引(けんいん)するだけの力強さが出てくるかが注目されている。
≪通貨下落 脆弱5カ国世界の足かせ≫
米国の量的緩和縮小にともなう金融市場の動揺が止まらない。通貨下落に見舞われた新興国の一部は1月28日以降、相次いで利上げによる通貨防衛策をとり、混乱はいったん収まったかにみえた。だが、29日に米国が一段の緩和縮小を決めると再び通貨安や株安が進んだ。脆弱(ぜいじゃく)な経済構造を抱える新興国の通貨下落が際立っており、米量的緩和の縮小があぶり出した新興国リスクが世界経済の足かせとなる恐れも浮上している。
混乱広がる
「トルコは市場予想を大きく上回る利上げに踏み切り、通貨防衛に強い決意をみせていたのだが…」