中国への波及懸念
新興国の通貨下落について、国際通貨基金(IMF)のホセ・ビニャルス金融資本市場局長は28日「新興国市場の国内問題と結びついている」と述べ、米量的緩和縮小が原因との見方を否定した。ただ、29日にFOMCが出した声明文には新興国への言及がなく、「これが投資家の不安をかき立てた」(外国為替アナリスト)との指摘もある。
先週からの世界的な株安では、製造業の経済指標が弱かった中国の先行き不安も重なった。新興国には中国との経済的なつながりが強い国も多く、明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは「新興国発の混乱が中国に波及するようなことになれば、世界経済が受けるダメージは格段と大きくなる」と指摘している。(塩原永久/SANKEI EXPRESS)
■フラジャイル・ファイブ(脆弱な5通貨) 米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和縮小で下落しやすい新興国通貨。ブラジル・レアル、インド・ルピー、インドネシア・ルピア、トルコ・リラ、南アフリカ・ランドを指す。高インフレ率と経常赤字で脆弱な経済構造を抱えている。