談した連合の神津里季生(こうづ・りきお)事務局長(左)と経団連の米倉弘昌会長=2014年2月5日、東京都千代田区大手町(栗橋隆悦撮影)【拡大】
経団連は今回、春闘の指針で6年ぶりにベア容認姿勢を示した。しかし、人件費増の固定化に消極的な企業も多いため、ベアではなく一時金増額などで対応したいのが本音だ。「それぞれの企業が自らの事情にこだわると、日本経済全体の成長につながらない」と批判する連合側との温度差は解消されていない。
連合は4月の消費税増税など物価上昇が見込まれる中、「ベアを獲得するラストチャンス」(産別幹部)と意気込むが、長い“冬の時代”に染みついた企業の体質を変えるのは簡単ではない。
今年こそ
地方や中小企業ではさらに交渉の行方は不透明だ。石川県内の木材加工工場では12年ごろから受注が増え、工場はフル稼働。だが従業員でつくる労組役員は「全国で住宅が建て替え時期にあることが生産増の背景。アベノミクスは関係ない」と分析する。一方で円安のため原木や運送価格が高騰、価格転嫁も難しい状況だ。この役員は「そもそも業績の良い時でも会社側は出し渋ってきた。コスト増は会社側にとって、賃上げ抑制の理由になる」と強調する。