葛西はこれまで、世界選手権を11大会、W杯に443試合参戦した。「頭が真っ白だった」という初出場の1992年アルベールビルから22年。海外の若手が台頭する状況で2006年トリノ(ノーマル20位、ラージ12位)、10年バンクーバー(ノーマル17位、ラージ8位)両五輪では力負けし、内心では「もう勝てないんじゃないか」という思いが強まった時もあった。しかし、「自分の力でメダルをもぎ取る」とソチへ乗り込み、7度目の挑戦で自らの経験、英知、技術がぴたりとかみ合った。
≪「金じゃないと涙出ない」≫
7度目の五輪で初めて個人種目のメダルを獲得した葛西は晴れやかな表情で心境を語った。
――悔しさもあるか
「もう少しで金に届きそうだった。6対4で悔しい。悔しさが6。(金銀を分けたのは着地時の)テレマークの差だった」
――2回目を飛んだ後、仲間に抱きつかれた