この関係者によれば、衆院議員は約40人、参院議員では約10人とされる「適齢期」議員には、一部を除き政策通で鳴らす、いわゆる「はまり役」は多くないという。「創生『日本』」組は5人程度いるものの、この自民党関係者は「首相のお眼鏡にかなっているのか、分からない」と言う。
起用したい人材が乏しければ、おのずと改造幅は知れてくる。別の関係者に聞けば、首相は参院自民党の意向は十分に配慮する考えだとされる。参院枠は、首相を除く閣僚枠18のうち現在2なので応じやすい。けれども、衆院枠が小幅人事にとどまれば、首相に対する不満が増幅するのは請け合いだ。
石破氏ら総裁選で対決した議員の処遇にも困りそうだ。党内には、政府側が政策決定を主導する「政高党低」への不満が根強く、彼らが現職ポストから外れれば、そうした勢力と結びつき、「反安倍」の機運が盛り上がる可能性もある。
首相は党総裁に復帰して以降、「『古い自民党』からの脱却」を再三、唱えてきた。ポスト配分を求める派閥の意向など党内事情に配慮せず、こうと信じる政策の実現に向けた体制を敷くことで、世論の支持を得たいとの含意があるのは言うまでもない。
党内への目配り、気配りにぬかりがあってはならない。その一方で、改造幅には限界がある。今は腹の中をおくびにも出さないけれど、さまざま思い巡らしているだろう。(松本浩史/SANKEI EXPRESS)