それでも、「日本経済がいい方向に行くよう貢献したい」(日立製作所の御手洗(みたらい)尚樹執行役常務)という政権へのアピールが交渉の原動力となる。労組側もデフレ脱却に向けた「社会的責任」を強調し、過去最高水準でゴールを目指した。
製造業の賃上げは流通、外食にも波及効果をもたらし始めている。「餃子の王将」を展開する王将フードサービスは12日、優秀な人材を確保する狙いで、一律1万円のベアを含む計1万7008円の賃上げを発表した。
ただ、経営側からは「賃上げは企業活動で決まるもの」(電機大手首脳)「政府に非協力的とまで言われるのは筋違いだ」(自動車大手幹部)といった恨み節も聞かれる。日本企業は、ベア実施に伴うコスト増と向き合い、厳しいグローバル競争に挑む。(SANKEI EXPRESS)