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【冷静と情熱のあいだ 髙橋大輔】全て一新 今後のことは焦らずに (2/5ページ)

2014.3.19 16:55

 傷めた右足をかばって左半身が力む体のクセがついてバランスが崩れ、明日の自分の体が信用できない状態だった。本番前に膝の水を抜いたけれど、水を抜くと違和感はなくなる一方、膝の可動域が急に広がるのでまた感覚が変わってしまう。だから、せめて4回転以外の要素だけは成功させたい、と願うような気持ちだった。

 練習以上のことは絶対に本番ではできない。それがわかっているだけに、もう無理だとしか思えなかったけれど、本番前は、「これまでごくたまに練習以上のことが本番でできることがあった」と、そんな自分の奇跡を願い、信じるしかなかった。

 フリー後半のトリプルアクセル(3回転半)の失敗が悔やまれる。あれは自分がビビった失敗。僕は4回転だけでなくアクセルまで調子を崩していた。成功する練習を積み重ねていなかったから、転びたくない、転んだらもう終わりだという思いが強くてビビってしまった。

 「転んでもいいから思いっきり行ったれ!」というメンタルになれれば、それが僕にとっては自信になって思い切り跳べる。練習ができていれば勝手にそういうメンタルになる。でも今回はその裏付けがなかったことが大きい。ショートは4回転以外はなんとかできたけれど、フリーはビビって失敗。できた自分とできなかった自分、両方含めて自分の実力だと思っている。

「思う自分」に追いつけず

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