【Campus新聞】
「子供の頃、お正月に吹田慈姑(すいたくわい)を食べないと、お年玉をもらえなかった。だから、これを見るとお年玉が頭に浮かぶ。当時はあまり好きじゃなかったが、今となってはいい思い出です。今の子供たちにも味わってもらいたい」。大阪府の吹田市地域経済振興室に勤める榊弘次さんはこう語る。
小学校で栽培
吹田慈姑は、吹田市のマスコットキャラクターすいたんのモチーフにもなっており、市も積極的にPRしているが、あまり作られなくなっている。
最大の理由は栽培の難しさ。吹田慈姑は天候の影響を受けやすいうえ、繊細で除草剤をまくと雑草よりも先に枯れてしまうため、手で雑草を抜かなければならない。しかも、収穫は1年に1度だけというのもネックとなっている。このため、生産農家の後継者が不足している。
榊さんは「できるだけ早く栽培指針を作り、商品として安定して供給できるようにする必要がある」と、課題を挙げる。
吹田慈姑を次世代に伝える取り組みも進んでいる。地元の北山田小学校と山手小学校では、吹田慈姑を栽培し、収穫して料理するまでを授業として取り入れている。「吹田慈姑を育てるにはたくさんの水が必要で難しい。農作物を作ることは、簡単ではなく奥深いということも学んでもらいたい」と、榊さんは話している。