その活気あふれる平等院の表参道をしばらく歩くと、平等院鳳凰堂につきあたる。その門前に「平等院表参道 竹林」がある。お店の前に立つと、それまでのざわつきが嘘のように消え、静寂すら感じられるような独特の雰囲気に包まれる。
店舗のたたずまいもあくまで控えめ。そしてお客を上品に出迎えてくれる。手入れの行き届いた庭園、和風建築に欠かせない打ち水…。これから始まる「食の時間」への楽しみを想像させる演出は十分だ。
屏風に見立て
案内された部屋は、畳敷きなのにテーブル席。しかも窓からは宇治川の清流や緑あふれる堤防などが望め、四季折々のスケッチが窓越しに楽しめるであろうイメージが広がる。
店主の下口英樹さんは「お店のオープンにあたり、窓からの眺めを屏風に見立てるよう工夫しました」と、にこやかに語る。相当、こだわったのだろう。続き間の客室すべてのふすまを開け、「ガラス窓屏風」の全景を披露してくれた。
下口さんは宇治市内の「京料理 竹林」の次男として生まれた。高校卒業後、料理専門学校へ。卒業後、京都を代表する料亭「菊乃井」で修業を積んだ。