地方から大都市への人口流出が現在のペースで続けば、30年間で20~30代の女性が半分以下に減る自治体は896市区町村に上るとの試算を、有識者らでつくる「日本創成会議」の分科会が5月8日発表した。過疎地を中心に全自治体の半数に当たる。座長の増田寛也元総務相は記者会見で「自治体の運営が難しくなり、将来消滅する可能性がある」と、地域崩壊の危機を指摘。魅力ある地方の拠点都市をつくるといった東京一極集中の是正や、出生率を上げるための対策を提言した。
国立社会保障・人口問題研究所が昨年(2013年)公表した将来推計人口を基に、子供を産む中心の年代である若年女性の数を試算。2040年に10年と比べて半数以下となる自治体数は全体の49.8%に上った。
都道府県別でこうした自治体が占める割合は、青森、岩手、秋田、山形、島根の5県が80%以上、24道県が半数以上だった。青森市、茨城県日立市、長崎県諫早市など10万人超の市も含まれる。
このうち523自治体は40年時点で人口が1万人を切ると見込まれる。増田氏は会見で「消滅の可能性がより高い」と話し、社会保障や公共交通、学校の維持ができなくなると説明した。