Chim↑Pomの作品はほかに、東京電力福島第1原発の事故直後の11年4月11日、原発間近の公園で、白旗に日の丸を描き、さらに放射能のマークに描き直す「REAL TIMES」も公開され、刺激的だ。
数字が意味するもの
対照的なのは、藤井光氏の「沿岸部風景記録」(12年8月)。福島県飯舘村の森林の風景を、淡々と大画面の映像で流す。聞こえてくるのは、鳥のさえずりやセミの声。どこまでも続く松林と下草、ツユクサのような小さな花も見え、朝の陽光がうっすらと差して、まさに日本人が安らげる風景。伝統的な日本画の屏風のようにも見えてくる。
ところが、一瞬、画面の脇に示される数字に目がとまる。それは大気中の放射線量で、毎時10.41マイクロシーベルトと原発事故前の数十倍に達している。人間がいられない自然とは、人間にとってどういう意味をもつのか、考えずにはいられない。
ほかにも岩手県釜石市の被災者自身が津波の襲来を写した映像を紹介したあとで、撮影者にインタビューした宮本隆司氏の作品「3.11 TSUNAMI 2011」など、記録的な作品も展示されている。