【アートクルーズ】
西洋科学も笑いと感動のタネ!? 遊び心たっぷりの「のぞいてびっくり江戸絵画-科学の眼、視覚のふしぎ-」が5月11日まで、サントリー美術館(東京都港区赤坂)で開かれている。江戸時代の庶民の気分で、存分に“新発見”を楽しみたい。
ミクロの世界が彩る
展示の中で、思わず噴き出してしまったのが、「蚤(のみ)図」(山田訥斎、19世紀)。紙のど真ん中に墨で、でかでかとノミを描いている。生えている体毛の表現もリアル。江戸時代の庶民は「な、なんだコリャ?」と、度肝を抜かれたにちがいない。
紙には畳の目の跡が残っていて、「宴会などの席画として即興で描いたものだろう」(池田芙美学芸員)という。「知らねぇのか、ノミってぇのはな…」顕微鏡を通してノミの実像を知っている描き手が、酔漢たちに蘊蓄(うんちく)を傾ける姿が浮かんでくる。