【アートクルーズ】
19世紀末から20世紀初頭にかけてのデザイン様式を振り返る展覧会「アール・ヌーヴォーとアール・デコ-ヨーロッパのデザインと工芸」が4月26日から、横須賀美術館(神奈川県横須賀市)で始まる。生活に潤いや美しさを与えた大きな総合芸術のうねりは、どんな背景で生まれ、欧米そして日本でどう広がったのか、100年を経た現代と比べながら考えてみたい。
アール・ヌーヴォーに大きな影響を及ぼしたのは、1851年ロンドンから始まった万国博覧会。幕末の日本も第2回のパリ万博(67年)から出展を開始、以来、日本の陶磁器や漆工芸などが脚光を浴びた。
それが、ジャポニスム(日本趣味)を生み、植物や生物をデザインした伝統的な日本美術が欧米の美術にも取り入れられたことが、動植物や曲線が特徴のアール・ヌーヴォー、そして直線とシャープさを特徴とするアール・デコを産む原動力につながった要因の一つといわれている。アール・ヌーヴォーは逆輸入されるかたちで、日本でも流行する。