【アートクルーズ】
日本の禅宗の祖とされ、京都最古の禅寺、建仁寺(けんにんじ、京都市東山区)を開いた栄西(ようさい)禅師(1141~1215年)の800年遠忌(おんき)を記念して、栄西ゆかりの美術品を集めた特別展「栄西と建仁寺」が東京・上野の東京国立博物館で開かれている。国宝4件、重要文化財38件を含む計183件の至宝だ。
一番の注目は、5年ぶりに公開される琳派(りんぱ)の創始者、俵屋宗達の筆による国宝「風神雷神図屏風」。また、この作品に影響を受けて後に同じモチーフで制作した尾形光琳の重文「風神雷神図屏風」も6年ぶりに同時公開される。2作品の見比べは欠かせない。
さらに、建仁寺は桃山画壇を代表する画家の一人、海北友松(かいほうゆうしょう)の作品が数多く残る寺としても知られ、いずれも重文の「雲龍図」や「竹林七賢図(ちくりんしちけんず)」などが展示され、見どころが多い。
建仁寺は1202(建仁2)年に建立。元号を寺名とする珍しい寺だ。当初は天台・真言・禅の三宗兼学としたが、後に禅寺として確立され、1386年には寺格が京都五山の第三位となった。俗に「建仁寺の学問面(がくもんづら)」と言われ、詩文芸術に秀でた禅僧を輩出、五山文学と称される文芸を創出した。