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【取材最前線】袴田事件、48年の重さ (1/2ページ)

2014.5.26 18:10

 1966(昭和9)年、静岡県清水市(現静岡市)でみそ製造会社の専務一家方から出火し、焼け跡から4人の刺殺遺体が発見された「袴田事件」で、静岡地裁は3月27日、強盗殺人罪などで死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌(はかまだ・いわお)さん(78)に対し、再審開始と死刑執行、拘置の停止を認める決定を出した。

 その日、本社と忙しくやりとりをしていると、テレビから「釈放されました!」と緊張した声が聞こえた。画面を見ると、48年ぶりに自由の身となった袴田さんが、東京拘置所から出てくる光景が映し出されていた。

 地裁は決定文で、「捜査機関が証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがある」と異例ともいえる踏み込んだ判断を示した。袴田さんは地裁決定と半世紀ぶりの外界の景色を、どんな気持ちで受け止めたのか。画面から袴田さんの気持ちを読み取ることはできなかった。

 その数日後、事件の現場を訪ねてみた。JR東海道線沿いにある古くからの住宅街。現場には、確定判決で袴田さんの侵入経路とされた裏木戸が今も残されている。

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