きっかけは一枚の付箋から
09年、未経験のジュエリー分野でのクリエーティブディレクター就任を引き受けたのも「チャレンジがとても好きで、制約があるほど力を発揮することができる」(タクーン氏)との性分だからだ。
ファッションに比べ、ジュエリーのデザインワークにはいろんな制約があり、建築設計のような綿密さが求められる、という。しかしタクーン氏は早速、制約を逆手に無駄がなくシンプルで美しい、モダンなパールジュエリーを生む。それが金の直線上に、パールをリズミカルに並べた「バランス」のシリーズだ。
「このデザインが生まれた瞬間は今でもはっきり覚えています。TASAKIからジュエリーのデザインを依頼されたけれど、果たして僕に何ができるのか…と一生懸命考えながら、いつしか手元にあった付箋にペンで円をぐるぐるぐる…と描いていました。それを見て、コレならデザインのストーリーが構築できる、とひらめいたんです」。その付箋をタクーン氏は今でも大切に持っているという。