妖精たちがオーロラのようなカーテンの上を駆け回り、白いスーツを着た男が突如として現れる壁を突き破り、空を飛ぶ。気がつけば、頭上には巨大なプールが出現し、美しい女性が水中を舞う。これは、新しいタイプの体験型エンターテインメントショー「フエルサ ブルータ」の1シーンだ。
「フエルサ」は獣、「ブルータ」は力を意味する。このショーは2005年にアルゼンチンのブエノスアイレスで産声をあげて以来、これまで世界25カ国で上演され、300万人以上が見たという。世界中を巡回公演し、人気を博したこのショーが、5月初旬から待望の東京公演を行っている。6月29日まで。
まるでおとぎ話か幻想か…。奇想天外なシーンにはさらに、風や水、音や光など五感に訴える刺激が加わり、しかもめまぐるしい速さで展開する。
「観客が頭で考えるスピードを上回ることによって、理性より直感に訴えたいと思っています」。こう語るのは、生みの親であり、芸術監督のディッキー・ジェイムズ氏だ。
ジェイムズ氏によると、場所の選定が難しかったために来日までに時間がかかったという。「ショーのセットは壮大で特殊なので、広々としたスペースが必要だ。なおかつ建物の構造にさまざまな条件があるため、日本の場合は会場の選定の難しさが、ハードルとなった」