だが物価上昇分ほど成長率は伸びない。今年4月末、日銀は14年度の消費者物価指数の見通しをプラス1.3%とし1月時点の予測を据え置いた。一方で実質国内総生産(GDP)の見込みはプラス1.1%と0.3ポイント下方修正した。
特に成長を阻害する要因として意識されているのが、深刻化する人手不足の問題だ。仕事が増えても生産が追いつかなければ、物価だけが上昇し、成長率は低くとどまりかねない。
物価上昇は長期金利の上昇圧力となり、さらに低成長で税収が増えなければ財政再建の足かせとなる。「日銀は大量の国債を購入する金融緩和を続けざるをえない」(第一生命経済研究所の嶌峰義清首席エコノミスト)との指摘は多い。低成長下で景気刺激策を求める声が強まれば、日銀も金融緩和から抜け出すことが困難となる。(大柳聡庸/SANKEI EXPRESS)