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【円游庵の「道具」たち】心地よい距離 丸若裕俊 (1/5ページ)

2014.7.4 16:40

凛としたたたずまいの自在鉤と蝋燭受け=2014年6月18日、東京都港区(大山実撮影)

凛としたたたずまいの自在鉤と蝋燭受け=2014年6月18日、東京都港区(大山実撮影)【拡大】

  • 企画プロデュース会社「丸若屋」代表、丸若裕俊(まるわか・ひろとし)さん=2014年6月30日(本人提供)

 美しい道具とは何か。われわれは道具のどこに美しさを感じるのだろうか。この連載を続けさせていただいている中で、私は何度となく自問自答を繰り返している。先日ふと今回ご紹介する一品「自在鉤(かぎ)」のデザインを手掛けた猿山修氏に問うたら、「緊張感の漂う道具に美しさを感じる」と返ってきた。

 確かに、「自在鉤」もそうした美しさを備えている。

 猿山氏との出会いは、6年ほど前になる。

 元麻布の「さる山」というギャラリーの主宰でもある猿山氏は、世界各地を巡って多くの物を見てきた経験を持ち、骨董(こっとう)の世界にも明るい。柔らかな物腰と穏やかな語り口の中に、深い知識と高い美意識を持ち合わせた者特有の凛(りん)としたたたずまいを感じさせる人物である。猿山氏のデザイナーとしての作品は、インテリアショップはもちろん、飲食店などでも多く目にすることができるが、素材を吟味し、作り手とともに丁寧に仕上げられた品々の存在感は、他と一線を画すものであり、デザイナー自身と同様の凛としたたたずまいを備えている。

 生まれ変わる形

 今回の一品を見て、何処かで見たことがあると思った方もおられるだろう。

使い手の工夫次第で

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