制裁が政策変更を促す手段として持つ効果については、専門家の間でも見解が割れている。プーチン氏の支持率は8割超で高止まりしており、米欧の制裁を受けて逆に態度を硬化させることも大いに考えられる。だが、撃墜事件前に発動された制裁ですらロシア経済にはボディーブローのように効き始めており、ソ連型の孤立路線は決して長続きしないだろう。
ロシアがクリミア併合を決めた3月、筆者はこれがプーチン政権の「終わりの始まり」になる可能性を指摘した。当時、政権の揺らぎは「3~4年で訪れる」との予測を念頭に置いていたが、マレーシア機の事件はそれを早めるかもしれない。経済か民族の問題、あるいはその両方が激動の幕を開くことになるのではないか。(モスクワ支局 遠藤良介(えんどう・りょうすけ)/SANKEI EXPRESS)