「金目発言に拍手」
JR小高駅のすぐ横に釣具屋があった。半分閉まったシャッターの奥に明かりが見えたので店内をのぞき、人がいることを確認して中に入ると、3人の男女が談笑していた。「話が聞きたい」と切り出すと、男性が「ここは捨てられた街だ。早く帰った方がいい」と言った。この男性は現在、東京に避難しているという。
「今の県知事も、市議会議員も誰もこの場所に来ない。マスコミも来たのは区域再編のときだけ。東京で最近、原発のニュースやってるか? 俺らは国から捨てられた難民なんだよ」
男性の怒りは収まらない。石原伸晃(のぶてる)環境相が、除染で出た汚染土などの中間貯蔵施設建設をめぐり、「最後は金目でしょ」と発言したことに、「俺はあれを聞いたとき、『その通りだ。よく言ってくれた』と拍手したよ。きれいごとはいらない。同情もいらない。最低限の金がなきゃ、希望は持てない」。