そして、今回僕の目当てだったケリスの圧倒的なパフォーマンスには度肝を抜かれた。今年の4月に発売されたニューアルバムに反応しなかったことを僕は悔いた。ジャズ、ファンク、ハウス、ディスコまでを撹拌(かくはん)し、ソウルフルなポップスに昇華させたステージは、女王の称号を与えたくなるほど豪華で、同時にストイックであった。僕の先入観を覆した彼女のプロ魂に心を打たれた。
思い込みを変えるという意味では、ジャック・ジョンソンのライブも非常に興味深かった。ケリスの出たホワイトステージから僕が出演予定のクリスタルパレスに移動する際に今年のヘッドライナーの一人でもある彼の演奏を少しだけ目にすることができた。ダンスミュージックではないけれど、多くの人に愛されるハートウォーミングなスタイルに時代のニーズを感じ取った。あまりにも有名過ぎて音楽的には僕と接点がないと今まで全くチェックしていなかったのだが、実はフォーキーなソウルやファンキーロックを踊れるジャズとともにプレーする僕の趣味と近からず遠からず…。工夫さえすれば、彼のファンに自分の音楽を伝えることもできるはずだと新たな表現のインスピレーションを得ることができた。