コクーン歌舞伎感慨
そして6年前、勘三郎さんに頼まれ、鶴屋南北の傑作歌舞伎「桜姫東文章」を「桜姫~清玄阿闍梨改始於南米版(せいげんあじゃりあらためなおしなんべいばん)~」なる南米の何処(いずこ)の国を舞台にした幻想劇に書き換え、これは番外公演として上演された。残念ながらこの公演の本番中、私は英国におり、自作の公演にも関わらず観ることは叶わなかった。またあまりにも破天荒な設定と展開ゆえに現場で大変な混乱を招いたことも耳にしており、けれども私個人としてはこの戯曲を異様に気に入っていることなど色々とちぐはぐで、まだ消化不良なところが残っていることも大きい。いずれにしても勘三郎さんに頼まれた仕事だのに、現場にいられず、プロセスを共に出来なかったことが大きい。コクーン歌舞伎に関わった筈(はず)なのに、まだ関われていないような感覚なのだ。これは本当に大きい。